野村羊子Blog
 日々の思いや行動などを綴っていきたいと考えています。よろしくお願いします。

2009/11/24
09年11月23日 議会定数と報酬

09年11月23日

名古屋市長は、議員定数半減と議員報酬半減を含む「政治ボランティア条例」を提案するそうです。
毎日新聞
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091028k0000e010080000c.html

河村名古屋市長のブレーン後房雄氏のブログによると提案内容は以下です。
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議会の改革の内容は以下の通りです。

市民を代表する職として、またパブリックサーバントとして政治ボランティア化を実現するため、以下の改革に取り組む。
・議員定数 概ね半減(現在は75)
・連続3期を超えた在職の自粛
・議員報酬 概ね半減(現在は、報酬、政務調査費、費用弁償を合計して約2200万円)
・政務調査費 廃止
・費用弁償 実費支給
・市民による本会議場における意見表明機会の創設
・議員の自由な意思に基づく議会活動の実現
・議員年金制度の廃止に向けた活動
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確かに、名古屋市は、議員報酬月額99万円、政務調査費一人当り月55万円と政令指定都市の中でも高め設定。その削減は、議会からの提案を待っていてはらちがあかないかもしれません。しかし、今回の提案は、その手法からすると、本当の議会民主制を活かす議会改革とは言えないのではないかと思います。

そもそも、議会が否決することを見越して議会解散・市長辞職による同日選挙を予定しているのです。その理由が、議会の反対によって市長提案が通らないから、というのでは、自らに賛成する議会をつくるための解散でしかありません。だとしたら、単に独裁政権を作りたい、ということでしかないように思います。
なぜ、地方議会は、首長と議会がそれぞれ選挙によって選ばれるのか。首長の独裁を防ぎ、多様な市民意見を市政に反映させるためではないのでしょうか。議会の役目の一つは、執行部をチェックすることにあります。河村市長は、地方でも一元代表制が持論のようですが、国と基礎自治体の役割は違います。今ですら、予算提案権のない議会は、首長とのバランスがとれているとは言えないという意見もあります。だからこそ、否決することでしか議会は対抗できず、いたずらに反対のための反対をしてきた経緯もあります。そのこと自体は改革の対象であり、市民が意見を言える議会、議員同士が議論し合える議会、執行部と議会が議論しあえる仕組み作りは必要だと考えます。ですが、それは、市長提案に常に賛成する議会ではありません。

次に議員定数半減ですが、名古屋市の人口は約225万に対して議員定数75人。議員一人当り市民3万人を代表していることになります。他の政令指定都市に比べて多すぎるというわけではありません。
横浜市 367万人 86人 →4.3万人に議員一人
大阪市 263万人 89人  2.9万人
札幌市 189万人 68人  2.8万人
神戸市 153万人 72人  2.1万人 
京都市 147万人 69人  2.1万人

逆に少なすぎる議員定数では、少数派の多様な意見反映ができなくなると考えます。国会でも議員定数の削減を叫ばれていますが、本当にそんな少数者で全ての物事を決めていっていいのでしょうか。政党の属さなければ選挙に出られない、当選できない、そういうことの方が問題だと私は感じます。
ではどの程度が適正なのでしょうか。とりあえず地方自治法は自治体の規模によって議員定数の上限を定め、自治体の多くはそれより若干削減した人数を定数として条例で定めています。それが現実にどうなのか、諮りかねる部分は大きいのですが、基礎自治体は市民の声の届くところに議員がいる必要があると感じています。
これについては、黒川茂さんのブログ「きょうも歩く」も参考になります。
http://kurokawashigeru.air-nifty.com/blog/2007/04/428_95d0.html

さらに、報酬の問題です。議員報酬を、報酬・政務調査費・費用弁償を合わせて概ね半減とする一方、政務調査費廃止と費用弁償実費支給と別立てで説明されています。
しかし、政務調査費は、本来議員活動に使うものですから、この領収書を1円から公開として、議員活動を賄える金額にするのが筋ではないでしょうか。数万人の声を代表する議員であれば、常駐する秘書(事務員?)のいる事務所を構えるなどして、市民の声を拾い上げる仕組みを維持する必要もありそうです。また、行政職員と渡り合い、執行機関をチェックするには、それなりの調査・研究が必要です。それを全廃するなら議会事務局が全てを担うような体制強化が必要です。ただ政務調査費を全廃するのは、議員に仕事をするな、行政の提供資料だけで満足せよ、といっているように聞こえます。

公開不要の報酬は生活費+活動費なので、手取りで平均年収の公務員程度と同等とするのが妥当だと考えます。河村市長提案のようにボランティア議員といわれても、現実には議員になれば他に報酬を得る道は少なく、生活を支え、活動を支える収入がなければ、特定業者と癒着したり、アルバイトに専念して議員活動に支障が来すことも考えられます。多様な立場の人が議員となり、なおかつ、誰にも頼らずに活動ができることを保障する、それを支える報酬が必要ではないでしょうか。
費用弁償は、実費精算なのは当たり前です。この提案では触れていませんが、議会選出委員として出席する審議会や一部事務組合等の報酬は廃止すべきだと考えます。
議員年金については、毎月9万近くの掛け金を取られている身としては、廃止でいっこうに構わないのですが、その期間だけ公務員共済や厚生年金に自前で加入できるようなシステムにして欲しいです。国民年金だけでは老後は暮らせないのは周知の事実。といって老後のために蓄財できるような状況ではありません。それなら、特別職公務員として公務員共済に加入。最終的にその期間の報酬に見合った掛け金を支払い年金額を計算するようなシステムにすれば、それほど不公平ではないように思うのです。

結局のところ、今回の河村名古屋市長の動きは、議員とは何か、議会の役割、議員の仕事、議員活動とは何かを、丁寧に問うことのない乱暴な議論に感ぜられます。
後房雄氏はブログで、議員は「議会90日以外は選挙活動」をしているという趣旨の発言をしています。「新人議員は選挙に専念し、議会で何も役割を割り振らない」という小沢一郎氏の言説によれば、そういうこともあるでしょう。実際には、審議会や委員会など、議会閉会中でも出席義務のある会もあります。市主催のイベント出席も、私は税金で何をしているのかをチェックしにいく、というつもりでいますが、見方によっては市民に顔を売りに来たともいえます。市民からの相談も、請願・陳情を受ける議員活動とも言えるし、利益誘導の政治活動とも言えます。何が議員活動であり、どこが選挙活動かの仕分けは微妙なことも多いのです。
このような中で、東京財団の「議会改革プロジェクト」が市町村議員の活動分析調査を計画しています。
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=509
基礎自治体の議員が日常どのような動きをしているのか、もっと可視化していく必要があるのは事実だと思います。ただ、12月〜3月は比較的暇な時期です。地域のイベントやお祭りなどが沢山催される秋にも調査して欲しいと思います。

議員としての仕事の最大イベント「一般質問」をするにしても調査が必要です。「議員の自由な意思に基づく議会活動の実現」が具体的にどのようなことを想定しているのかはわかりませんが、むしろ、議員全員に「一般質問」を義務づけ、必要によっては執行部の反問権設定など議論しあえる仕組み作りの方が、市民意見をより広範に市政に生かせる議会となるのではないでしょうか。名古屋市のように議員が多いところは年1回の義務づけでもいいかもしれません。しかし、実際には執行部が答弁に追われるので決してこのような提案はしないでしょうね。
単に賛成反対ではなく、どう合意形成をしていくのかの過程を市民に見せること、場合によっては市民自らが議論に加わる機会を作ること。それが議会改革ではないでしょうか。

いずれにせよ、市民受けする提案で反対勢力を悪者にして、議会構成を変えようとするのはどこかでみた手法。本当に民主主義の育成や議会改革を狙っているものとはやはり思えません。

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